セカンドステップとは
セカンドステップとは?
セカンドステップはアメリカのワシントン州シアトルに本拠地を置くNPO法人「Committee for Children」が開発した教育プログラムです。
心の知能指数EQを育て、集団生活の中でのコミュニケーション能力を培うSocial Emotional Learningとして、連邦教育省から最優秀賞を得たものです。
2022年現在、世界13か国(アメリカ、オーストラリア、ブラジル、中国、デンマーク、エストニア、フィンランド、日本、メキシコ、ノルウェー、パナマ、
スウェーデン、トルコ)の教育者や子供たちに、子供のセルフ・コントロールと社会的感情的能力を発達させるための効果的なアプローチを提供しています。
日本においても2001年より、NPO法人として本会が普及に努め、多くの幼稚園や保育園、小・中学校、児童福祉施設などに導入され、約3万人のこどもにリーチしています。
セカンドステップの実践を通して、「いじめ」「仲間はずれ」「意地悪」「キレる子」といった子どものコミュニケーションに関する問題を解決に導いています。
セカンドステップの基礎となっている理論
「社会性と情動の学習(Social-Emotional Learning)」と「自己調整(Self-regulation)」の理論が基盤となっています。
指導方法としては「ソーシャルスキルトレーニング(Social Skills Training)」を使います。
①社会性と情動の学習(Social-Emotional Learning)
「情動」の認知と扱い方ならびに他人との共感的な思いやりのある「対人関係」を学ぶものです。
全米規模でSELを推進する教育団体であるCASEL –Collaborative for Academic, Social, and Emotional Learning(2013)*¹では、
その内容として次の5項目を挙げています。
・Self-awareness; 自分の気持ちに気づいて言う
・Social-awareness; 相手の気持ちを推測して思いやる
・Self-management; 自分の情動を整えて落ち着く
・Relationship Skills; 人間関係の問題を解決する
・Responsible Decision Making; フェアな社会的行動をとる
②自己調整(Self-regulation)
特定の社会的要請に適応したり、自分の目的を達成したりするために、行動、認知、情動をモニターし調整する次の3つの能力の事です。
・Self-Regulation of emotion; 情動を自分で整える
・Self-Regulation of cognition; 認知・思考を自分で整える
・Regulation of overt behavior; 行動・ふるまい方を自分で整える
Berger(2011)*²によれば、脳の前頭前野が関与する実行機能(Executive function)と関連しており、次の構成要素があげられています。
・行動抑制、注意集中とその持続
・短期記憶、ワーキングメモリ
・敏捷性、処理速度、協調運動
・情動の調整、欲求不満への対処、意図・努力
・課題を言語化してまとめ、計画して問題解決する
・自己観察(モニタリング)と自己制御、ブレーキ
セカンドステップでは、「頭の体操」と「学びのスキル」で、注意を集中する(指導者に注意を向け聞いたり見たりする)こと、ワーキングメモリ(ゲーム中に何をするか、言葉や動作を覚えておいて使うこと)、抑制力(いつどのように動き、いつ止まるかコントロールすること)を学びます。
*¹ CASEL 2013 CASEL guide Effective Social and Emotional Learning Programs Preschool and Elementary School Edition. (http://www.casel.org/research2016/4/18 引用)
*² Andrea Berger,2011 Self-Regulation: Brain, Cognition, and Development (American Psychological Association)